大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)6203号 判決

記録に徴すれば、原裁判所は、昭和二十六年二月二十三日の公判において被告人等の主任弁護人の請求により大和村農地委員会から「久保田信之所有大和村大字青沼南原九百十七番地山林三町二反八畝四歩について昭和二十五年五月二十三日為された右委員会の農地買収計画に関する書面及びこれに対する異議申立書並びにこれに関する書類一切」を取り寄せる旨の決定をし、同月二十八日同委会員へその送付を嘱託したことは認められるが、公判調書上には、その後原裁判所が該取寄書類を公判廷に顕出した旨の記載がない。

しかしながら、なお記録によれば、原裁判所が同様被告人等の主任弁護人の請求により右書類の取寄決定と同時に茨城県農地委員会から取寄の決定をし、右書類の送付嘱託と同日に同委員会へ送付の嘱託をした「大和村大字四鹿久保田信之所有山林七町七反余歩について為された同村農地委員会の買収計画に対する久保田信之の異議申立却下に関する同人の訴願書並びに右訴願の審議経過を記載した書類一切」については、同年五月四日の公判において被告人等の主任弁護人から右県農地委員会から送付された該書類写の取調の請求がされてその証拠調が行われていて、原裁判所が同書類を公判廷に顕出したことが明らかであるにかかわらず該書類についても該期日までの各公判調書にその顕出の記載がなく、また原裁判所の大和村農地委員会宛昭和二十六年五月十八日附嘱託書類返還書の控には、同委員会からの取寄決定があつた前記書類につき「さきに御送付頂きました左記書類は使用済になりましたので書留郵便に付し返還致します」と記載されており、且つ原審において右大和村農地委員会からの該書類取寄決定の結果につき被告人等及び弁護人等から何らの請求も異議の申立も行われた形跡がないことから観れば、該書類は、公判調書上には公判廷に顕出した記載を欠いているとは言え、県農地委員会から取り寄せた前記書類と同様実際には公判廷に顕出されたものであつて、訴訟関係人からこれにつき更に証拠調の請求が行われなかつたため、原裁判所は、そのまま右取寄書類を前記嘱託書類返還書の控に記載されたとおり使用済として甲農地委員会へ返還したことが認められるのである。そして、本件のように裁判所が訴訟関係人の請求により書類の取寄決定を行つた場合は、裁判所は、該書類を取り寄せてこれを法廷に顕出すれば足るものであつて、該書類につき証拠調を行う義務をも負うものではないから、原裁判所は、適法に右取寄決定を施行したものと言わなければならない。且つ、原判決は、もとより右書類を採証に供しているものではない。従つて、原審の訴訟手続には所論のような判決に影響を及ぼす法令の違背は存しない。

論旨は理由がない。

(註 本件は量刑不当によう破棄自判)

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